女殺油地獄「ネジと紙幣」
さて、大阪城の近くにはイオン化粧品 シアターBRAVA!がある。
こんなに近いところにあるんかと思う位に近い。
このイオン化粧品 シアターBRAVA!の隣は「ホテルニューオータニ」がある。
なので、今回は迷子にならずに辿りついたw
開場は12時半頃なので、その間に大阪城見物したわけだ。
迷子にもなるだろうし、乗換も間違えるだろうと思っていたため大分時間に余裕をもって行動した。
会場「イオン化粧品 シアターBRAVA!」
宣伝ポスター「ネジと紙幣」
12時20分頃あたりに、再度会場にやってくるとすでに人の数が増えていた。
約30人以上はいるだろうか、殆ど女性。。男性は少ない。
女性客が80%で男性は20%程度にも満たないのかと思った。
〉ユニークな人
開場する前に少し変なのが居た。
ドレットヘア―で若干、普通の生活はしてないような雰囲気の男性だ。
舞台関係者なんだなぁーっと思った。
少し歳を取った夫婦らしき人達を開場へ案内して行ってしまった。
〉開場
少し時間が経過して開場となる。
すでに、銀河劇場で「ネジと紙幣」は見ている。
だが、あまりにも期待以上の出来栄えだったので千秋楽も見たいとの思いで大阪まで来たのだ。
入ると、すぐにパンフレットを求める観客が行列しているw
ネジと紙幣のパンフレット&クリアファイルケース
〉ネジと紙幣
主人公は森山未来・行人、仕事もせず常にブラブラしている問題児。
今回、彼がイライラしているのはキャバ嬢・久留巳(江口のりこ)が別の男と花火を見るためだ。
舞台の冒頭では、どうしてあんなことが起きてしまったのかという、舞台の始まりを告げるかのように真っ暗になった舞台が一気に明るくなって、独りの男性にスポットライトが照らされる。
彼は、殺された女の旦那であり、彼もまた犠牲者なのだ。
そこに殺された女が浴衣姿で現れる。
彼女はきっかけとなった「花火大会」から始まると彼から告げられて少し躊躇っているだ。
だが、そこから舞台は始まる。
1.花火大会開場前
照内桃子(ともさかりえ)は浴衣の姿で旦那さんと約束した土手の下にある小屋で待っている。
彼女には子供がいる。
すでに子供たちは花火会場へと旦那さんの母と一緒に出掛けていた。
少し経つと、向かえに住んでいる兼坂家の旦那さんと奥さん、娘さんがやってくる。
うちの行人はこなかった?と尋ねるが、まだ行人には会っていないと桃子は返答する。
兼坂さんの娘さんにはフィアンセがいるんだとかと話が和む。
そのまま、兼坂一家は花火開場へと向かう。
兼坂一家が居なくなった後に行人が登場する。
手にはハンズの袋を持って。
彼には友人が二人付いている。
何やら良からぬことをするような雰囲気だ。
ハンズの袋からは木刀が三つ出てきた。これを連れの二人に渡すと今回の計画を練り始める。
だが、二人は木刀の「グリップ」が気に入らないと言い、木刀を捨てる。
代わりになるものを持って来ると一人が消える。そして、もう一人も消える。
桃子に木刀を持たせ、なぜか素振りをさせる。やはり「グリップ」が痛いようだw
そうこうしている間に桃子は行人に木刀で打ってくる。それを木刀で受けたが。。
木刀は折れてしまった。
木刀が折れては計画が実行できないと怒る行人の前に、例の二人組が代わりを持って再登場。
彼らが持っているのは道路交通標識の付いたポールと何やらポール付きの看板のようだ。
そろそろ、目標が見えてきたので、一同は小屋へと隠れる。
桃子は少し茶化しながらそれを見る。
ようやく、目標が近くまで現れる。
どうやらキャバ嬢と連れの男が目標らしい。だが、行人は連れの男性に一発入れたいようだ。
近くまで来たが、突然電話が鳴った。
どうやら連れの男は花火を見ることが出来ないようだ。
帰ろうとする男を引き止めるキャバ嬢。
しかし、帰ろうとする。
強引にキャバ場は土手下へと足を引っ張って落とすのだw(これをしないと物語が進行しないw)
一緒に足にしがみ付いて男と一緒に土手下へと滑り落ちるキャバ嬢。
これが非常に不愉快で堪らない行人は小屋の壁を破壊してキャバ嬢の許へ。
が、小屋は壁を失って倒れる。下敷きになる連れの二人w
そこに桃子がやってきて助けるわけだ。
小屋と言えども、壁を破壊しなくても出られる。なんで壊したんだって連れの二人は怒る。
下敷きになった様を見ていたキャバ嬢の連れは大笑い。
その間、行人はキャバ嬢と会話をする。
そんな行人のいいようには事は運ばない。理想のようにはこの世の中は行かないなんてことをキャバ嬢が言う。
行人は花火に誘ったのに、仕事があっていけないって断ったのに、なぜ男と花火を見る?
仕事だったんだろ?だったらいけないはずだよなって言うが相手にされない。
そうこうしている間に、キャバの連れの男はその場から離れようとする。
そこに行人の連れの二人が例の看板とかで襲いかかる。
倒れる男、だがすぐに立って石で殴って反撃を開始する。
倒れこむ行人の連れ達。
その場から離れようとする男に行人は木刀で殴りにかかる。
土手下へ落ちる男。その後、意識がないとキャバ嬢は言う。
行人の連れの一人も駄目そうだ。大量に血が出ている。
キャバ嬢がその場から逃げようとするが、行人はそれを止める。
口止め料を支払うから「男が友人をやって、友人を守るためにやった」と見たと言えと説得する。
だが、金が足りない。負傷した連れから金を奪い、更には目撃者・桃子からも金を借りる。
金を渡してキャバ嬢は居なくなる。
行人の連れは相当重傷のようだ。帰り際に「お前といると何時もこんなことばっか!!」と怒り消える。
桃子は冷静に見ていた。あのキャバ嬢は今頃花火開場へ向かっていると。
本当にバカだと行人を攻める。
もう一人の犠牲者・桃子の旦那が登場する。
すでに動かなくなっている男が居て、尚且つ行人と一緒にいた桃子は焦る。
早くここから離れましょうと切り出す桃子。が、旦那はここからだって花火が見ることが出来ると応じない。
なかなか離れないので、行人は怒りだす。だが、旦那はそれに応じない。
(すでに旦那さんは、ここで行人と桃子が自分の居ないところで何かをやっていたのを悟り、嫉妬していた)
すると、先ほど意識の無かった男が復活する。安堵する桃子と行人。
男が起きたので、旦那は桃子と一緒に花火開場へと向かう。
行人もその場から離れようとするが・・・男に呼び止められる。
その瞬間に舞台は真っ赤な花火の色で真紅に染まる。まるで血が降ったように。
二.兼坂工場
行人の家はネジや部品等を製作している工場だ。
向かいの照内家も同様な部品工場だが、関係としては照内家から注文を持ってくるので、昔から照内家と深い関係だ。
兼坂家は元社長が居たが、すでにこの世にはいない。元社長と母・佐和子の子供が行人だ。
その部下だった辰男が現・社長だ。
行人には妹・和佳がいるが、辰男と母・佐和子の子であり、行人はそんな家庭の中の次男だ。
そう、行人には兄・輝紀がいるが、すでに独立して工場を持っている。
そのため、元社長の工場を継ぐのは次男・行人なのだが・・・
だが、母・佐和子は和佳の婚約者・東本に工場を継いで欲しいと願っている。
それを知った行人は東本と和佳が上手くならないように、東本に和佳には会うなと忠告した。
そのため、実際は別れていないが婚約解消の危機になってしまった。
“あの事件”後、一ヵ月後。
行人は別人になったように工場で働くようになった。
これには深い訳がある。
その深い訳を知っている、工場の従業員・栗尾は舞台替えの間、丁重に成り行きを話出す。
そこに和佳が割り込んでくる。和佳も深い理由をしているようだ。
だが、栗尾の知らない訳を知っているようだ・・・
工場には、従業員・栗尾が作業をしている。
そこに嬉しそうに佐和子がやってくる。顔には出さないが行人が仕事をしているので嬉しいようだ。
気前よく、栗尾に麦茶を差し入れする。
だが、工場には行人の姿が見えない。表情は曇りだす、遊びに出かけたんだろうと・・・
そこに現・社長の辰男が嬉しそうにやってくる。
栗尾に行人の仕事ぶりはどうだと聞くが。。。この栗尾はどうやら変わり者らしい。上手く言葉に出来ないで口をぱくぱくしている。
戸が開いて、従業員の格好をした行人が手土産を持って帰ってくる。
どうやら、納品に出掛けたようだ。(だが、それが事実ということにはならない)
先ほどの栗尾の反応だ。行人には納品に行くと伝えてくれと“頼まれた”が、実際は納品に行ったが代わりに貰ってきた金を使ってしまったということは知っていたのだ。
それを社長に言うべきか迷ったのだ。
にんまりした社長は手土産を持って部屋へと向かう。
それを確認した行人は黙って仕事をするフリをする。
もくもくと仕事をしたフリをして、栗尾に何故“納品に行った”と言わなかったのかと尋ねる。
だが、栗尾は返事が出来ない。それに業を煮やした行人は口に含んだ水をぶっかける。
更に、機械を動かして音を誤魔化す。
そう、栗尾は行人を恐れていた。いつもバカにされ、蹴られ殴られていたが。。それを社長には言えなかったのだ。
陰湿な苛めをやっていると、“男”がやってくる。
そう、彼こそが行人が殺しかけた男だ。
男・赤地は地上げ屋だ。
ここら近辺の土地を売っては金にしている。
そんな男に関わってしまった行人は・・・
赤地は、話は上手く運んでいるかと切り出す。
まだだと答える行人。
そこに母・佐和子がやってくる。
態度が変わる赤地、ここの土地手放してくださいって別人になったような赤地。
売ったら良い値になるんですよ、こんな工場で働かなくて暮らせますってセールスを展開する。
反応は売らないの一点張り。行人も追い出す素振りを見せる。
また来るといい出ていく赤地。
土壇場になる行人。話を切り出す機会を窺う。。
そこに、むかえの家の照内家の永太郎が、栗尾に発注した品の寸法が違っていたから直して欲しいと強く言う。
それを聞いて驚嘆する栗尾。
どうやら、非常に大変な作業工程になるようだ。それを明日までに直して欲しいという話らしい。
三.兼坂家の居間
赤地が去り、午後五時になった仕事が終わる時間だ。
行人は着替え、工場の中にある流し台で何度も何度も几帳面に手を洗う。
なかなか油は手から取れないようだ。
栗尾は帰る支度をしている。栗尾はミルクティ(HOT)の入った水筒をリュックに入れ、普段着に着替えている。
その間に行人は、栗尾の姿を見て落胆する。
彼の服はいつも同じなのだ。
行人は工場から離れ、部屋から持ってきた自分の着てない服を栗尾にあげると切り出す。
そこに社長が現れ、優しいな行人はとニンマリする。
貰った服がリュックにうまく入らないとブツブツ言う栗尾。
なんとか入れて、おつかれさまでしたと出ていく。
居間には社長が座りくつろいでいる。
そこにビール瓶を持った佐和子が登場するが、がっかりする。
出て行こうとするのでビールをくれと社長は要求する。
和佳が現れ、ビールを注いであげる。
突然、和佳は栗尾は変だと切り出す。
あの人、そのものがあれしかないのでは、あれしかない人なんだろうけど、あれ以外には決してないんだ、だから変なんだよ。
栗尾が工場で働いている存在でしかなく、工場から出た栗尾は全く工場にいる時と同じで、工場そのものが栗尾だと和佳は言いたいようだ。
つまり“存在しないやつ”だと意識しているわけだ。だから変だと。
その話題をしていると行人がやってくる。
行人はあいつは変だ。“ああいう奴が人を殺す”んだって平然と言いだす。
暫くすると、工場から何かが壊れる音がする。
社長は駈け出して工場に向かう。そこにあったのは水筒。
栗尾がやったと推定される。言葉では態度を示さないが、行動で示したのだ。
和佳はそわそわしている。
どうやら、兄・輝紀を待っているようだ。
和やかに会話が進む兼坂家。
そのチャンスみて行人は土下座で謝る。何か思惑があるようだ。
社長は話を聞こうとするが、佐和子は話を東本の話へと切り替える。
どうしても東本と和佳の仲が解消されたいようだ。
チャンスを生かせなく、尚且つ東本の話をしたので行人は怒る。
ちょうど、玄関先で車が停まり、長男・輝紀が訪れる。
何やら様子がおかしい。
行人が居るのを知って、行人に東本の話を聞く。
どうやら、行人は東本に和佳と別れてくれと電話で言ったようだ。
それを知っていた和佳は、凄く落ち込んだ。なので兄・輝紀に相談したのだ。
更に話を別な話へと切り出す。
例の土地買収の話だ。
その土地を買っているのと、行人は知り合いだ。しかも、この工場を売るなんてことを約束してしまったと輝紀は言いだす。
驚嘆する兼坂一家。
しかも、その男は行人が怪我を負わせたことで賠償を求めていることも告げる。
行人の計画では、自分が真面目に働いて工場を継いでその継いだ工場を売る口実をなんとか言う予定だったのだ。
それがすべて、兄・輝紀が来てぶち壊しになった。
「この工場は俺の親父のものだ。元従業員のものじゃない、俺が好きに出来るんだ。どうして、俺の親父に頭下げていた“こいつ”の元で生活しなくちゃいけないだ。元々俺の家なのに!!!」
義父に対する冒涜だ。
母がなんてことを言うんだとけしかけると、行人は母・佐和子を襖へとぶん投げる。
それを見た兄・輝紀は行人に襲いかかる。
その後、義父・辰男が行人を投げ飛ばし、更に工場まで行き乱闘をする。
「そんなに、この家が嫌なら出て行けばいい。お前の家じゃないんだ。どこかへ行けよ」
と、義父・辰男は言い放つ。
けちょんけちょんになった行人は怒りながら家から出て行くのだった。
出て行ったあと、佐和子は泣きだし。。義父は痛めている腰に手をやり。。
どうにも出来ないことの成行きをただ、、、思うだけだ。
四.照内家 工場
舞台は代わり、向かえの家の照内家の家庭の事情へと話は切り替わる。
照内家の大黒柱は大企業の重役の息子・永太郎だ。
どうして、そんな彼が工場の跡取りになったって。
色々彼なりの理由があるんだろう。
父のような人間にはなりたくないとか、いい処の坊ちゃんとは思われたくとか等など。
妻・桃子は最近機嫌がいい。
どうやら向かえの兼坂さんの行人君が仕事をしているだからのようだ。
妻・桃子と行人君は幼馴染だ。だから、彼・行人君と一緒にいる時は私の知らない彼女になる。
そう、それが嫌なんだ。あんな桃子は知らないから。
そんな僕を悟ったのか、両親は僕たちの子供を僕らから取りあげた。
兼坂さんには両親に預けていると言っているけど、もう気が付いているかもしれないな。
どんどん、彼女が私の知っている妻・桃子ではなく、桃子になっていくようで怖いんだ。
桃子は何も変わっていないように振舞っているけど、それが私を苦しめる。
キャバ嬢が家の前をうろうろしている。
え?ここには来なかったって話をしてくれって?なんでだろう。分からない。
キャバ嬢がセット中の暗い舞台にスポットを浴びて現れる。
どうやら行人はキャバ嬢に匿ってもらっているようだ。
赤地は知っているような感じだが、どうやら知らないフリをしているようだ。なんでだろう。
先ほど、様子を窺っていたのは兼坂家に誰か居るか探りを行人に頼まれていたようだ。
行人はキャバ嬢から居ないと告げられて戸を開くと、赤地が出てくる。
赤地に捕まりボコボコにされる行人。
何も出ない行人にはガッカリしたと嘆く赤地。
ところが、行人の両親はどうにか金を用意したようだ。
なら、もう用は無いんだろうよと思う行人。
だが、赤地は納得しない。
このまま、行人君が何もできなかったら、行人君は自分の行為に納得できる?両親の分と行人君の分は別だよ。
じゃ、久留巳ちゃんは幾ら位あったら凄いと思う?
百万あったら、凄いね。
じゃ、百万用意してよ。これ位なら用意出来るでしょう?行人君?期待しているからね。
照内家では桃子と永太郎が言いあいになり、永太郎は怒って家から出て行ってしまった。
蒸し暑い家の中、長雨の影響でストーブを焚いて何とか洗濯物を乾かそうとしているようだ。
だが、余計に洗濯物の蒸気で蒸し暑くなっているようだった。
そんな中にいたら、余計に気分は最悪になるだろう。だから永太郎も少し外に出れば気が納まるだろうと思ったのだ。
その蒸し暑い工場に行人がやってくる。
慌てて、桃子は行人を匿う。戸を閉めてカーテンを閉めて。
昔の話をして、昔を思い出す桃子と行人。
怪我している様子を見て、奥から治療品などを持ってきて、治療する。
赤地にやられたのだとは全く告げず、怪我しただけだと言う行人。
そこに戸をバタバタする音が起き、慌てる二人。
行人を奥の部屋へと行かせ、戸を開ける。
そこには兼坂一家がいた。
どうやら、訳ありらしい。
永太郎がやってきて、相談したようだ。それも行人との関係を疑っているようだったそうだ。
そんな思いをさせてしまったお詫びに、封筒を渡す兼坂家。
更に訳があるようだ。
辰男はポケットから封筒を出して渡す。それを見た佐和子は奪い。
そんなことしたら行人はまた駄目になる。と泣きだす。
佐和子は辰男、照紀に一度出てくれと告げて一旦は出て行くのだが、佐和子がひっそりと鞄から・・・
出す瞬間に、辰男と輝紀は再び戸を開けて入り鞄を奪う。
落ちる二つの封筒。
佐和子もまた行人を不憫に思い、お金を渡すように桃子に言う。
だが、投げつけるくらいでちょうどいいだろうと兼坂家。
あんまり、行人に優しくしないでね、旦那さん永太郎さんを想ってねと言い兼坂家は出て行く。
出て言ったのを確認した行人は出てきて、それを見た桃子は封筒を投げつける。
ゆきちゃんには、それもう必要ないよね?アパートでも借りて住んだら?
それとも家に戻る?
家族の話を聞いていた行人は、封筒の中身の金を数える。
もう、ゆきちゃんには“お金”は必要無いよね?ゆきちゃん?
ちょっと黙っていてくれ、数えているからさ・・・
ゆきちゃんは、少し先のことを考えればいいんだよ。なんであんなバカなことしたんだろうね。
今のことよりも、近い将来のことを考えればいいじゃないの?それでアパート借りれば?
ゆきちゃん?
金が足りないな。。。桃子、その封筒の金貸してよ。
え?これはあたなには貸さないし、私のお金よ!!
何言っているんだ?元うち(兼坂家)の金だろ、俺の金だよ!!!
それより、俺の靴どうした?靴はどこだ?
指を指して場所を教える桃子。
その場所へ行き靴を確認するが、油で汚れて汚い靴になっていた。
何度も布で落とすが、油は落ちない。
どうしてくれたんだよ!!!!!
その行人の手には、機械をメンテナンスするための先の尖った工具が!!!!
桃子にその凶器を持ち、近づく。
工場内に干してあった衣類やタオルが一気に油に染まる。
まさに、桃子が死ぬ時がやってきた。
桃子は後ずさりしながら、戸のカーテンを開けて、戸を開けようと必死に逃げようとする。
そうはさせまいと、カーテンを閉じ戸を抑え、行人はその凶器を桃子の腰の辺りに深く刺す。
逃げ惑う桃子、必死に戸を開けようとするが、なかなか開かない。その間に再度、刺さる激痛。
工場内を逃げるが、逃げ場所は無い。
辺りにあるオイルやらグリスを床に落としながら必死に逃げる。
それを見て不敵な笑みをしながら行人は転びながら、必死に桃子を捕らえながら幾度も刺す。
舞台の中央まで逃げ惑い、行人に必死に抱きつきながら行人を想いながら。。。
そこに行人の残酷なまでの凶器が桃子に突き刺さる。
抱きついていた桃子の身体は徐々に崩れ落ち、その綺麗な手は地にパタリと落ちた。
行人は念願の封筒を手に入れ、工場のロッカーにあった作業着を着て工場から出る。
むかえの自分の家に行き、栗尾に誰も居ないのかと聞くと工場の中へ。
真っ暗の中、舞台が入れ替わるのだが、この時は明るい状態で舞台が兼坂家の工場へと変わる。
変わらないのは、中央に倒れた桃子の死骸だった。
舞台が切り替わると、行人は栗尾に家族はいるのかと尋ねる。
いないと答える栗尾。
すぐさま、自分のロッカーに向かい着替えを行う。
だが、栗尾にあげたはずの服がロッカーに入っている。
どうして着ないのかと尋ねる行人、気に入らないから要らないと答える栗尾。
そこに携帯の着信音が鳴り響く。
赤地がどうやら忘れたらしい。
工場に赤地が携帯を忘れたから探しに来たと言い、工場内を探しまわる。
行人は赤地に封筒のことを話す。だが、赤地はそれには関心無く栗尾に声を掛ける。
午後5時になり、時計の音が工場に響く。
徐に、机の上の封筒を見て、金が入っていることを確認する行人。
やれば出来るじゃないの?一週間以内で出来たじゃないか、凄いよ行人君!!
やれば出来る子なんだね。と、喜ぶ赤地。
ようやく、発注を受けた部品が出来たので照内家へ納品に行く栗尾。
行人は工場の中にある流し台で丁寧に返り血に染まった手を何度も何度も洗っている。
赤地は関心した顔で何度も几帳面に洗うんだねと、にこやかに言う。
栗尾の悲鳴が鳴り響く。
それを聞いて赤地もその現場を確認する。
行人だけに照明が照り、その明るい空間で、必死に血に染まった指を丁寧に何度も何度も洗う。
まるで、油仕事を終えて油に汚れた手や指を綺麗にするように、何度も何度も洗う。。。。
こんなに近いところにあるんかと思う位に近い。
このイオン化粧品 シアターBRAVA!の隣は「ホテルニューオータニ」がある。
なので、今回は迷子にならずに辿りついたw
開場は12時半頃なので、その間に大阪城見物したわけだ。
迷子にもなるだろうし、乗換も間違えるだろうと思っていたため大分時間に余裕をもって行動した。
会場「イオン化粧品 シアターBRAVA!」
宣伝ポスター「ネジと紙幣」
12時20分頃あたりに、再度会場にやってくるとすでに人の数が増えていた。
約30人以上はいるだろうか、殆ど女性。。男性は少ない。
女性客が80%で男性は20%程度にも満たないのかと思った。
〉ユニークな人
開場する前に少し変なのが居た。
ドレットヘア―で若干、普通の生活はしてないような雰囲気の男性だ。
舞台関係者なんだなぁーっと思った。
少し歳を取った夫婦らしき人達を開場へ案内して行ってしまった。
〉開場
少し時間が経過して開場となる。
すでに、銀河劇場で「ネジと紙幣」は見ている。
だが、あまりにも期待以上の出来栄えだったので千秋楽も見たいとの思いで大阪まで来たのだ。
入ると、すぐにパンフレットを求める観客が行列しているw
ネジと紙幣のパンフレット&クリアファイルケース
〉ネジと紙幣
主人公は森山未来・行人、仕事もせず常にブラブラしている問題児。
今回、彼がイライラしているのはキャバ嬢・久留巳(江口のりこ)が別の男と花火を見るためだ。
舞台の冒頭では、どうしてあんなことが起きてしまったのかという、舞台の始まりを告げるかのように真っ暗になった舞台が一気に明るくなって、独りの男性にスポットライトが照らされる。
彼は、殺された女の旦那であり、彼もまた犠牲者なのだ。
そこに殺された女が浴衣姿で現れる。
彼女はきっかけとなった「花火大会」から始まると彼から告げられて少し躊躇っているだ。
だが、そこから舞台は始まる。
1.花火大会開場前
照内桃子(ともさかりえ)は浴衣の姿で旦那さんと約束した土手の下にある小屋で待っている。
彼女には子供がいる。
すでに子供たちは花火会場へと旦那さんの母と一緒に出掛けていた。
少し経つと、向かえに住んでいる兼坂家の旦那さんと奥さん、娘さんがやってくる。
うちの行人はこなかった?と尋ねるが、まだ行人には会っていないと桃子は返答する。
兼坂さんの娘さんにはフィアンセがいるんだとかと話が和む。
そのまま、兼坂一家は花火開場へと向かう。
兼坂一家が居なくなった後に行人が登場する。
手にはハンズの袋を持って。
彼には友人が二人付いている。
何やら良からぬことをするような雰囲気だ。
ハンズの袋からは木刀が三つ出てきた。これを連れの二人に渡すと今回の計画を練り始める。
だが、二人は木刀の「グリップ」が気に入らないと言い、木刀を捨てる。
代わりになるものを持って来ると一人が消える。そして、もう一人も消える。
桃子に木刀を持たせ、なぜか素振りをさせる。やはり「グリップ」が痛いようだw
そうこうしている間に桃子は行人に木刀で打ってくる。それを木刀で受けたが。。
木刀は折れてしまった。
木刀が折れては計画が実行できないと怒る行人の前に、例の二人組が代わりを持って再登場。
彼らが持っているのは道路交通標識の付いたポールと何やらポール付きの看板のようだ。
そろそろ、目標が見えてきたので、一同は小屋へと隠れる。
桃子は少し茶化しながらそれを見る。
ようやく、目標が近くまで現れる。
どうやらキャバ嬢と連れの男が目標らしい。だが、行人は連れの男性に一発入れたいようだ。
近くまで来たが、突然電話が鳴った。
どうやら連れの男は花火を見ることが出来ないようだ。
帰ろうとする男を引き止めるキャバ嬢。
しかし、帰ろうとする。
強引にキャバ場は土手下へと足を引っ張って落とすのだw(これをしないと物語が進行しないw)
一緒に足にしがみ付いて男と一緒に土手下へと滑り落ちるキャバ嬢。
これが非常に不愉快で堪らない行人は小屋の壁を破壊してキャバ嬢の許へ。
が、小屋は壁を失って倒れる。下敷きになる連れの二人w
そこに桃子がやってきて助けるわけだ。
小屋と言えども、壁を破壊しなくても出られる。なんで壊したんだって連れの二人は怒る。
下敷きになった様を見ていたキャバ嬢の連れは大笑い。
その間、行人はキャバ嬢と会話をする。
そんな行人のいいようには事は運ばない。理想のようにはこの世の中は行かないなんてことをキャバ嬢が言う。
行人は花火に誘ったのに、仕事があっていけないって断ったのに、なぜ男と花火を見る?
仕事だったんだろ?だったらいけないはずだよなって言うが相手にされない。
そうこうしている間に、キャバの連れの男はその場から離れようとする。
そこに行人の連れの二人が例の看板とかで襲いかかる。
倒れる男、だがすぐに立って石で殴って反撃を開始する。
倒れこむ行人の連れ達。
その場から離れようとする男に行人は木刀で殴りにかかる。
土手下へ落ちる男。その後、意識がないとキャバ嬢は言う。
行人の連れの一人も駄目そうだ。大量に血が出ている。
キャバ嬢がその場から逃げようとするが、行人はそれを止める。
口止め料を支払うから「男が友人をやって、友人を守るためにやった」と見たと言えと説得する。
だが、金が足りない。負傷した連れから金を奪い、更には目撃者・桃子からも金を借りる。
金を渡してキャバ嬢は居なくなる。
行人の連れは相当重傷のようだ。帰り際に「お前といると何時もこんなことばっか!!」と怒り消える。
桃子は冷静に見ていた。あのキャバ嬢は今頃花火開場へ向かっていると。
本当にバカだと行人を攻める。
もう一人の犠牲者・桃子の旦那が登場する。
すでに動かなくなっている男が居て、尚且つ行人と一緒にいた桃子は焦る。
早くここから離れましょうと切り出す桃子。が、旦那はここからだって花火が見ることが出来ると応じない。
なかなか離れないので、行人は怒りだす。だが、旦那はそれに応じない。
(すでに旦那さんは、ここで行人と桃子が自分の居ないところで何かをやっていたのを悟り、嫉妬していた)
すると、先ほど意識の無かった男が復活する。安堵する桃子と行人。
男が起きたので、旦那は桃子と一緒に花火開場へと向かう。
行人もその場から離れようとするが・・・男に呼び止められる。
その瞬間に舞台は真っ赤な花火の色で真紅に染まる。まるで血が降ったように。
二.兼坂工場
行人の家はネジや部品等を製作している工場だ。
向かいの照内家も同様な部品工場だが、関係としては照内家から注文を持ってくるので、昔から照内家と深い関係だ。
兼坂家は元社長が居たが、すでにこの世にはいない。元社長と母・佐和子の子供が行人だ。
その部下だった辰男が現・社長だ。
行人には妹・和佳がいるが、辰男と母・佐和子の子であり、行人はそんな家庭の中の次男だ。
そう、行人には兄・輝紀がいるが、すでに独立して工場を持っている。
そのため、元社長の工場を継ぐのは次男・行人なのだが・・・
だが、母・佐和子は和佳の婚約者・東本に工場を継いで欲しいと願っている。
それを知った行人は東本と和佳が上手くならないように、東本に和佳には会うなと忠告した。
そのため、実際は別れていないが婚約解消の危機になってしまった。
“あの事件”後、一ヵ月後。
行人は別人になったように工場で働くようになった。
これには深い訳がある。
その深い訳を知っている、工場の従業員・栗尾は舞台替えの間、丁重に成り行きを話出す。
そこに和佳が割り込んでくる。和佳も深い理由をしているようだ。
だが、栗尾の知らない訳を知っているようだ・・・
工場には、従業員・栗尾が作業をしている。
そこに嬉しそうに佐和子がやってくる。顔には出さないが行人が仕事をしているので嬉しいようだ。
気前よく、栗尾に麦茶を差し入れする。
だが、工場には行人の姿が見えない。表情は曇りだす、遊びに出かけたんだろうと・・・
そこに現・社長の辰男が嬉しそうにやってくる。
栗尾に行人の仕事ぶりはどうだと聞くが。。。この栗尾はどうやら変わり者らしい。上手く言葉に出来ないで口をぱくぱくしている。
戸が開いて、従業員の格好をした行人が手土産を持って帰ってくる。
どうやら、納品に出掛けたようだ。(だが、それが事実ということにはならない)
先ほどの栗尾の反応だ。行人には納品に行くと伝えてくれと“頼まれた”が、実際は納品に行ったが代わりに貰ってきた金を使ってしまったということは知っていたのだ。
それを社長に言うべきか迷ったのだ。
にんまりした社長は手土産を持って部屋へと向かう。
それを確認した行人は黙って仕事をするフリをする。
もくもくと仕事をしたフリをして、栗尾に何故“納品に行った”と言わなかったのかと尋ねる。
だが、栗尾は返事が出来ない。それに業を煮やした行人は口に含んだ水をぶっかける。
更に、機械を動かして音を誤魔化す。
そう、栗尾は行人を恐れていた。いつもバカにされ、蹴られ殴られていたが。。それを社長には言えなかったのだ。
陰湿な苛めをやっていると、“男”がやってくる。
そう、彼こそが行人が殺しかけた男だ。
男・赤地は地上げ屋だ。
ここら近辺の土地を売っては金にしている。
そんな男に関わってしまった行人は・・・
赤地は、話は上手く運んでいるかと切り出す。
まだだと答える行人。
そこに母・佐和子がやってくる。
態度が変わる赤地、ここの土地手放してくださいって別人になったような赤地。
売ったら良い値になるんですよ、こんな工場で働かなくて暮らせますってセールスを展開する。
反応は売らないの一点張り。行人も追い出す素振りを見せる。
また来るといい出ていく赤地。
土壇場になる行人。話を切り出す機会を窺う。。
そこに、むかえの家の照内家の永太郎が、栗尾に発注した品の寸法が違っていたから直して欲しいと強く言う。
それを聞いて驚嘆する栗尾。
どうやら、非常に大変な作業工程になるようだ。それを明日までに直して欲しいという話らしい。
三.兼坂家の居間
赤地が去り、午後五時になった仕事が終わる時間だ。
行人は着替え、工場の中にある流し台で何度も何度も几帳面に手を洗う。
なかなか油は手から取れないようだ。
栗尾は帰る支度をしている。栗尾はミルクティ(HOT)の入った水筒をリュックに入れ、普段着に着替えている。
その間に行人は、栗尾の姿を見て落胆する。
彼の服はいつも同じなのだ。
行人は工場から離れ、部屋から持ってきた自分の着てない服を栗尾にあげると切り出す。
そこに社長が現れ、優しいな行人はとニンマリする。
貰った服がリュックにうまく入らないとブツブツ言う栗尾。
なんとか入れて、おつかれさまでしたと出ていく。
居間には社長が座りくつろいでいる。
そこにビール瓶を持った佐和子が登場するが、がっかりする。
出て行こうとするのでビールをくれと社長は要求する。
和佳が現れ、ビールを注いであげる。
突然、和佳は栗尾は変だと切り出す。
あの人、そのものがあれしかないのでは、あれしかない人なんだろうけど、あれ以外には決してないんだ、だから変なんだよ。
栗尾が工場で働いている存在でしかなく、工場から出た栗尾は全く工場にいる時と同じで、工場そのものが栗尾だと和佳は言いたいようだ。
つまり“存在しないやつ”だと意識しているわけだ。だから変だと。
その話題をしていると行人がやってくる。
行人はあいつは変だ。“ああいう奴が人を殺す”んだって平然と言いだす。
暫くすると、工場から何かが壊れる音がする。
社長は駈け出して工場に向かう。そこにあったのは水筒。
栗尾がやったと推定される。言葉では態度を示さないが、行動で示したのだ。
和佳はそわそわしている。
どうやら、兄・輝紀を待っているようだ。
和やかに会話が進む兼坂家。
そのチャンスみて行人は土下座で謝る。何か思惑があるようだ。
社長は話を聞こうとするが、佐和子は話を東本の話へと切り替える。
どうしても東本と和佳の仲が解消されたいようだ。
チャンスを生かせなく、尚且つ東本の話をしたので行人は怒る。
ちょうど、玄関先で車が停まり、長男・輝紀が訪れる。
何やら様子がおかしい。
行人が居るのを知って、行人に東本の話を聞く。
どうやら、行人は東本に和佳と別れてくれと電話で言ったようだ。
それを知っていた和佳は、凄く落ち込んだ。なので兄・輝紀に相談したのだ。
更に話を別な話へと切り出す。
例の土地買収の話だ。
その土地を買っているのと、行人は知り合いだ。しかも、この工場を売るなんてことを約束してしまったと輝紀は言いだす。
驚嘆する兼坂一家。
しかも、その男は行人が怪我を負わせたことで賠償を求めていることも告げる。
行人の計画では、自分が真面目に働いて工場を継いでその継いだ工場を売る口実をなんとか言う予定だったのだ。
それがすべて、兄・輝紀が来てぶち壊しになった。
「この工場は俺の親父のものだ。元従業員のものじゃない、俺が好きに出来るんだ。どうして、俺の親父に頭下げていた“こいつ”の元で生活しなくちゃいけないだ。元々俺の家なのに!!!」
義父に対する冒涜だ。
母がなんてことを言うんだとけしかけると、行人は母・佐和子を襖へとぶん投げる。
それを見た兄・輝紀は行人に襲いかかる。
その後、義父・辰男が行人を投げ飛ばし、更に工場まで行き乱闘をする。
「そんなに、この家が嫌なら出て行けばいい。お前の家じゃないんだ。どこかへ行けよ」
と、義父・辰男は言い放つ。
けちょんけちょんになった行人は怒りながら家から出て行くのだった。
出て行ったあと、佐和子は泣きだし。。義父は痛めている腰に手をやり。。
どうにも出来ないことの成行きをただ、、、思うだけだ。
四.照内家 工場
舞台は代わり、向かえの家の照内家の家庭の事情へと話は切り替わる。
照内家の大黒柱は大企業の重役の息子・永太郎だ。
どうして、そんな彼が工場の跡取りになったって。
色々彼なりの理由があるんだろう。
父のような人間にはなりたくないとか、いい処の坊ちゃんとは思われたくとか等など。
妻・桃子は最近機嫌がいい。
どうやら向かえの兼坂さんの行人君が仕事をしているだからのようだ。
妻・桃子と行人君は幼馴染だ。だから、彼・行人君と一緒にいる時は私の知らない彼女になる。
そう、それが嫌なんだ。あんな桃子は知らないから。
そんな僕を悟ったのか、両親は僕たちの子供を僕らから取りあげた。
兼坂さんには両親に預けていると言っているけど、もう気が付いているかもしれないな。
どんどん、彼女が私の知っている妻・桃子ではなく、桃子になっていくようで怖いんだ。
桃子は何も変わっていないように振舞っているけど、それが私を苦しめる。
キャバ嬢が家の前をうろうろしている。
え?ここには来なかったって話をしてくれって?なんでだろう。分からない。
キャバ嬢がセット中の暗い舞台にスポットを浴びて現れる。
どうやら行人はキャバ嬢に匿ってもらっているようだ。
赤地は知っているような感じだが、どうやら知らないフリをしているようだ。なんでだろう。
先ほど、様子を窺っていたのは兼坂家に誰か居るか探りを行人に頼まれていたようだ。
行人はキャバ嬢から居ないと告げられて戸を開くと、赤地が出てくる。
赤地に捕まりボコボコにされる行人。
何も出ない行人にはガッカリしたと嘆く赤地。
ところが、行人の両親はどうにか金を用意したようだ。
なら、もう用は無いんだろうよと思う行人。
だが、赤地は納得しない。
このまま、行人君が何もできなかったら、行人君は自分の行為に納得できる?両親の分と行人君の分は別だよ。
じゃ、久留巳ちゃんは幾ら位あったら凄いと思う?
百万あったら、凄いね。
じゃ、百万用意してよ。これ位なら用意出来るでしょう?行人君?期待しているからね。
照内家では桃子と永太郎が言いあいになり、永太郎は怒って家から出て行ってしまった。
蒸し暑い家の中、長雨の影響でストーブを焚いて何とか洗濯物を乾かそうとしているようだ。
だが、余計に洗濯物の蒸気で蒸し暑くなっているようだった。
そんな中にいたら、余計に気分は最悪になるだろう。だから永太郎も少し外に出れば気が納まるだろうと思ったのだ。
その蒸し暑い工場に行人がやってくる。
慌てて、桃子は行人を匿う。戸を閉めてカーテンを閉めて。
昔の話をして、昔を思い出す桃子と行人。
怪我している様子を見て、奥から治療品などを持ってきて、治療する。
赤地にやられたのだとは全く告げず、怪我しただけだと言う行人。
そこに戸をバタバタする音が起き、慌てる二人。
行人を奥の部屋へと行かせ、戸を開ける。
そこには兼坂一家がいた。
どうやら、訳ありらしい。
永太郎がやってきて、相談したようだ。それも行人との関係を疑っているようだったそうだ。
そんな思いをさせてしまったお詫びに、封筒を渡す兼坂家。
更に訳があるようだ。
辰男はポケットから封筒を出して渡す。それを見た佐和子は奪い。
そんなことしたら行人はまた駄目になる。と泣きだす。
佐和子は辰男、照紀に一度出てくれと告げて一旦は出て行くのだが、佐和子がひっそりと鞄から・・・
出す瞬間に、辰男と輝紀は再び戸を開けて入り鞄を奪う。
落ちる二つの封筒。
佐和子もまた行人を不憫に思い、お金を渡すように桃子に言う。
だが、投げつけるくらいでちょうどいいだろうと兼坂家。
あんまり、行人に優しくしないでね、旦那さん永太郎さんを想ってねと言い兼坂家は出て行く。
出て言ったのを確認した行人は出てきて、それを見た桃子は封筒を投げつける。
ゆきちゃんには、それもう必要ないよね?アパートでも借りて住んだら?
それとも家に戻る?
家族の話を聞いていた行人は、封筒の中身の金を数える。
もう、ゆきちゃんには“お金”は必要無いよね?ゆきちゃん?
ちょっと黙っていてくれ、数えているからさ・・・
ゆきちゃんは、少し先のことを考えればいいんだよ。なんであんなバカなことしたんだろうね。
今のことよりも、近い将来のことを考えればいいじゃないの?それでアパート借りれば?
ゆきちゃん?
金が足りないな。。。桃子、その封筒の金貸してよ。
え?これはあたなには貸さないし、私のお金よ!!
何言っているんだ?元うち(兼坂家)の金だろ、俺の金だよ!!!
それより、俺の靴どうした?靴はどこだ?
指を指して場所を教える桃子。
その場所へ行き靴を確認するが、油で汚れて汚い靴になっていた。
何度も布で落とすが、油は落ちない。
どうしてくれたんだよ!!!!!
その行人の手には、機械をメンテナンスするための先の尖った工具が!!!!
桃子にその凶器を持ち、近づく。
工場内に干してあった衣類やタオルが一気に油に染まる。
まさに、桃子が死ぬ時がやってきた。
桃子は後ずさりしながら、戸のカーテンを開けて、戸を開けようと必死に逃げようとする。
そうはさせまいと、カーテンを閉じ戸を抑え、行人はその凶器を桃子の腰の辺りに深く刺す。
逃げ惑う桃子、必死に戸を開けようとするが、なかなか開かない。その間に再度、刺さる激痛。
工場内を逃げるが、逃げ場所は無い。
辺りにあるオイルやらグリスを床に落としながら必死に逃げる。
それを見て不敵な笑みをしながら行人は転びながら、必死に桃子を捕らえながら幾度も刺す。
舞台の中央まで逃げ惑い、行人に必死に抱きつきながら行人を想いながら。。。
そこに行人の残酷なまでの凶器が桃子に突き刺さる。
抱きついていた桃子の身体は徐々に崩れ落ち、その綺麗な手は地にパタリと落ちた。
行人は念願の封筒を手に入れ、工場のロッカーにあった作業着を着て工場から出る。
むかえの自分の家に行き、栗尾に誰も居ないのかと聞くと工場の中へ。
真っ暗の中、舞台が入れ替わるのだが、この時は明るい状態で舞台が兼坂家の工場へと変わる。
変わらないのは、中央に倒れた桃子の死骸だった。
舞台が切り替わると、行人は栗尾に家族はいるのかと尋ねる。
いないと答える栗尾。
すぐさま、自分のロッカーに向かい着替えを行う。
だが、栗尾にあげたはずの服がロッカーに入っている。
どうして着ないのかと尋ねる行人、気に入らないから要らないと答える栗尾。
そこに携帯の着信音が鳴り響く。
赤地がどうやら忘れたらしい。
工場に赤地が携帯を忘れたから探しに来たと言い、工場内を探しまわる。
行人は赤地に封筒のことを話す。だが、赤地はそれには関心無く栗尾に声を掛ける。
午後5時になり、時計の音が工場に響く。
徐に、机の上の封筒を見て、金が入っていることを確認する行人。
やれば出来るじゃないの?一週間以内で出来たじゃないか、凄いよ行人君!!
やれば出来る子なんだね。と、喜ぶ赤地。
ようやく、発注を受けた部品が出来たので照内家へ納品に行く栗尾。
行人は工場の中にある流し台で丁寧に返り血に染まった手を何度も何度も洗っている。
赤地は関心した顔で何度も几帳面に洗うんだねと、にこやかに言う。
栗尾の悲鳴が鳴り響く。
それを聞いて赤地もその現場を確認する。
行人だけに照明が照り、その明るい空間で、必死に血に染まった指を丁寧に何度も何度も洗う。
まるで、油仕事を終えて油に汚れた手や指を綺麗にするように、何度も何度も洗う。。。。
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